【2023年4月施行】 民法改正!改正点6点を解説!~part4-Ⅱ~
豆知識2023.05.11
~はじめに~
2023年4月に施行される民法改正は、近年、問題となっている所有者不明土地(所有者が不明な土地・所有者が判明していてもその所在が不明な土地)
の問題の解決を目的として、不動産登記法等の改正とともに行われました。
民法では、所有者不明土地の利用・管理を行いやすくするため諸制度(共有制度・財産管理制度など)の見直しが行われ、
所有者不明土地を利用しやすくなるような改正がなされています。
所有者不明土地は、今や国土の20%以上(2017年国土交通省調査)といわれており、不動産取引や不動産管理を行う際に問題となる事例も多くなっています。
また、所有者不明土地の中には長期にわたり放置されているものもあり、相続の際、予期せず問題に直面する可能性もあります。
この機会に、今回の改正で、共有制度、財産管理制度、相続制度や相隣関係がどう変わったか、再確認してはいかがでしょうか。
この記事では、2023年施行の民法改正のポイントを分かりやすく解説していきます。
4.所有者不明土地管理制度等の創設
旧民法では、財産を管理する人が不在の場合の財産管理制度として、不在者財産管理人制度や相続財産管理人制度が設けられていました。
しかし、これらの制度は人単位で財産全般を管理することから、個々の不動産の管理にまで目が行き届かない場合があり、また、所有者が管理を放置しているような事案には適用されないため、
土地・建物が管理されないまま放置されることによって危険な状態になることもありました。
そこで、今回の改正では、以下の制度を創設し、裁判所により選任された管理人が管理されていない土地や建物を管理することを可能としました。
Ⅱ・ 管理不全土地管理制度 / ・管理不全建物管理制度
4-Ⅱ.管理不全土地管理制度・管理不全建物管理制度
新設された管理不全土地管理制度・管理不全建物管理制度(以下併せて「管理不全土地等管理制度」)は、所有者による管理が適切に行われず、
他者への権利侵害があるかそのおそれがある土地について、裁判所が管理人を選任する制度です。(民法264条の9~264の14)
選任を請求できる「利害関係人」は、管理不全土地等の管理に利害関係を有する「利害関係人」をいい、具体的には、以下などが該当します。(民法264条の9第1項、264条の14第1項)
・ 隣地の擁壁が劣化により倒壊し、それにより土砂崩れのおそれがある土地の隣地の所有者
・ ゴミの不法投棄を土地等所有者が放置したことにより臭気や害虫が発生し、これにより被害を受けている者
選任された管理人の管理の対象となる範囲は、管理不全土地等のほか、土地等にある所有者の動産、売却代金等です。
対象が建物の場合は、借地権等の敷地権も対象となります。(民法264条の9第2項、264条の10第1項、264条の14第2項)
選任された管理人は、対象の土地等の管理処分権を有し、以下のような行為を行うことができます。(民法264条の10、264条の14第4項)
☑ 裁判所の許可を得ることなく行える行為
・ 保存行為
・ 対象の土地等の性質を変えない範囲内での利用・改良行為
☑ 裁判所の許可を得たうえで行う行為
・ 「保存行為」「性質を変えない範囲内での利用・改良行為」以外の行為
ただし、対象の土地等について処分行為を行うためには、所有者の同意が必要です。
なお、管理不全土地管理人・管理不全建物管理人の管理処分権限は、専属的ではないので、対象の土地等の所有者は、従来どおり管理や処分を行うことができます。
続きは後日アップします。
少しでも参考になれば幸いです。
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