【2023年4月施行】 民法改正!改正点6点を解説!~part5-Ⅰ~
豆知識2023.05.15
~はじめに~
2023年4月に施行される民法改正は、近年、問題となっている所有者不明土地(所有者が不明な土地・所有者が判明していてもその所在が不明な土地)
の問題の解決を目的として、不動産登記法等の改正とともに行われました。
民法では、所有者不明土地の利用・管理を行いやすくするため諸制度(共有制度・財産管理制度など)の見直しが行われ、
所有者不明土地を利用しやすくなるような改正がなされています。
所有者不明土地は、今や国土の20%以上(2017年国土交通省調査)といわれており、不動産取引や不動産管理を行う際に問題となる事例も多くなっています。
また、所有者不明土地の中には長期にわたり放置されているものもあり、相続の際、予期せず問題に直面する可能性もあります。
この機会に、今回の改正で、共有制度、財産管理制度、相続制度や相隣関係がどう変わったか、再確認してはいかがでしょうか。
この記事では、2023年施行の民法改正のポイントを分かりやすく解説していきます。
5. 相続制度の見直し
今回の改正では、相続制度について、以下のような改正が行われました。
Ⅰ.長期間経過後の遺産分割の見直し
5-Ⅰ.長期間経過後の遺産分割の見直し
所有者不明土地の中には、遺産分割がなされないまま長期間経過し、再度の相続が生じたり、相続に関する証拠等が散逸したりすることで遺産分割がより困難になり、そのまま放置されているものも数多くあります。
そのため、今回の改正では、相続開始から10年を一つの契機として、遺産分割を促進する仕組みを創設しています。
具体的には、原則として、相続開始時から10年経過した後は、※1法定相続分又は※2指定相続分を分割の基準とし、※3具体的相続分を適用しないこととなりました。(民法904条の3)
それぞれ以下のような意味合いです。
※1法定相続分 :法律が定めた遺産の取り分
※2指定相続分 :遺言によって指定された遺産の取り分
※3具体的相続分:個別の事情(亡くなるまで介護をしたなど)を考慮した遺産の取り分
以下の場合には、引き続き、具体的相続分により分割されます。(民法904条の3第1項1~2号)
・ 10年経過前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割請求をしたとき
・ 10年の期間満了前6か月以内に、遺産分割請求をすることができないやむを得ない事由が相続人にあった場合で、当該事由消滅時から6か月経過前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割請求をしたとき
また、相続人全員が具体的相続分による遺産分割をすることに合意した場合にも、具体的相続分による遺産分割が可能です。
この規定は、改正民法の施行日(2023年4月1日)より前に被相続人が死亡した場合の遺産分割にも適用されますが、経過措置により、
民法904条の3第1項1号、2号の基準時について、5年の猶予期間を設けています。(民法等の一部を改正する法律 附則3条)
続きは後日アップします。
少しでも参考になれば幸いです。
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