大切な実家を空き家にしないための手引き!第2章 2-3民事信託(家族信託)とは
豆知識2023.09.24
大切な実家を空き家にしないための手引き!第2章 2-3民事信託(家族信託)とは
はじめに
少子高齢化や人口の減少などを背景に空き家が増え続けています。 中でも空き家が増える理由の一つに、 実家の相続問題があります。
相続問題といっても内容は多岐に渡り、例えば、相続人同士の意見が合わなかったり、実家を処分することに対する罪悪感、
未登記による所有者の不明、そして相続不動産を売却したり人に貸したりすることができない認知症発症問題といったものが挙げられます。
これらを回避していくには、相続について正しい知識を持つ、どのような相続にしたいのかを考える、それを家族と相談する、
最後に遺言書などでその思いを遺すの4つの作業が必要になってきます。
これから自宅を相続させたり、 実家を相続したりする方が、トラブルなく幸せな相続が迎えられることとなれば幸いです。
~目次~
第1章 実家の「争族」対策
第2章 トラブルを深刻化させない認知症対策
2-3民事信託(家族信託)とは
第3章 相続した人がやるべきこと
第4章 子どもに迷惑を掛けない実家の適正管理
第2章 トラブルを深刻化させない認知症対策
近年、認知症の患者数は増加しており、今後も増え続けることが予想されています。
一方で、あまり知られていないのが、認知症と診断されてしまうと実家の相続対策として、できなくなってしまうことが多いということ。そのため、空き家にせざるを得ないといったケースも増えています。
2-3民事信託(家族信託)とは
民事信託とは、不動産などの財産を所有する人 (委託者) が、信頼する人 (受託者) にその不動産などの財産を託し、受託者が契約内容に従って受益者のために、その不動産などの財産を管理したり、処分したりすることです。
信託銀行などが引き受ける商事信託でないものが民事信託と呼ばれており、その中で主に近親者同士が委託者と受託者になるケースを家族信託と呼んでいます。
民事信託は、認知症になってしまったときに誰が自分に代わって財産の管理・処分をするのか、どのような方針で運用がされるかなどを予め決めておくことができます。
また、信託する財産の範囲を自由に決められる、二次相続の対策も可能など、 認知症対策だけでなく、相続対策としても柔軟性の高い制度です。
≪民事信託でできることの一例≫
●信託する財産の範囲を自由に設定できる ●二次相続対策にも活用できる
※自分の相続だけでなく、さらに後の相続も決めることができる。遺言は自分の相続のことしか決められません。
「民事信託を利用する際の注意点」
1.資産をどう活用し、承継し、それを誰に託すかを決めないといけない
民事信託は、家族の財産の使い方、 承継の仕方を自由に設計することができます。自由度が高い分、信託する財産の範囲、活用の方法、家族間の役割分担などについてさまざまなことを決めないといけません。
2.やり直しが難しい
民事信託では、信託内容を変更する方法が当初の契約内容によって異なるので、家族全員で十分話し合って契約内容を決めることが重要です。長期に渡る契約により、税務などチェックする点が多数あるため、必ず専門家に相談することが必要です。
□事例から学ぶ民事信託! その1
・民事信託で財産を自分以外のためにも使う
課題:Aさんには難病と闘っているBさんという妻がいます。夫のAさんが療養をしている妻の治療費を負担しています。ただ、もし自分が認知症になってしまったら妻の治療が続けられなくなる可能性があると、何かしらの対策をしたいと思っていました。
【信託の内容】
Aさんは今後の妻の治療費のため、息子Cさんを受託者、Aさんを受益者とする民事信託を信託財産1000万円で設定することにしました。
信託の目的に、AさんとBさんの生活費及び治療費のために信託財産を使う旨を記載しました。
その結果、Aさんが今後認知症になってしまったとしても、Cさんに信託された1000万円をBさんの治療のために使うことができるようになりました。
また、Aさんが死亡した後も信託は継続するようにしました。 Aさん死亡後の受益者を妻Bさんとし、受託者CさんがAさん亡き後もBさんのために治療費を使えるようにしました。
□事例から学ぶ民事信託 ! その2
・自宅のみを信託する
課題:Aさんは高齢者施設への入所を予定しているため、空き家になってしまう自宅の売却を検討しましたが、どうしても手放すことができず悩んでいました。
認知症になってしまったら子どもたちが代わりに処分してくれればと考えていましたが、所有者であるAさんが認知症になってしまうと自宅の売却が難しいということを知り、どうしたら良いか悩んでいました。
【信託の内容】
Aさんの財産は自宅と預金がありましたが、預金はまだ自分で管理したいと思っていたため、自宅と自宅の管理や売却時に掛かる最小限の金銭のみを信託財産とする民事信託を設定することにしました。
Aさんが委託者、息子のBさんが受託者、Aさんを受益者とする内容でした。こうすることで、もしAさんが認知症になった場合でもBさんが自宅を賃貸したり、売却したりすることができるようになりました。
続きは後日アップします。少しでも参考になれば幸いです。
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